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苦しみとエクスタシーの17世紀、ローマ、オラトリオの誕生。 [2012]

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クラシックという音楽ジャンルは、他の音楽ジャンルに比べると、ひとつのジャンルとは言い難いほど、実に、実にヴァラエティに富んでいる!のだけれど、ちょっと視点を変えてみて、西洋音楽史の全景から見つめると、また違ったイメージが浮かび上がる。西洋音楽の生みの母は教会であり、育ての父も教会であり、教会は家であり、学校であり、グレゴリオ聖歌が整備されてから千年、フランス革命(1789)により教会の地位が大きく揺らぐまで、教会音楽の歴史こそ、音楽史であり、教会は、西洋音楽史のメイン・ステージだった。というあたりを、少し、じっくり向き合ってみようかなと思いまして... というのは、一昨日から四旬節に入っておりまして... 別にキリスト教徒ではないけれど、華美な音楽は控えてみる?てか、教会を彩った音楽を聴くには最適な時節かなと... そして、西洋音楽史のメイン・ステージ、教会が、最も刺激的だった頃、対抗宗教改革の時代に注目!
17世紀、ローマ、ロッシのカンタータから、カリッシミのオラトリオへ... ルイス・アントニオ・ゴンサレス率いる、スペインの古楽アンサンブル、ロス・ムシコス・デ・ス・アルテーサによる興味深い1枚、"Il tormento e l'estasi"(Alpha/Alpha 183)を聴く。

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生誕150年、プフィッツナーによるマニフェスト、『パレストリーナ』。 [2012]

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ロマン主義も、かつては、前衛だった... 1850年代、ヴァイマルの楽長を務めていたリストは、ロマン主義をより深化させようと奮闘するも、保守勢力の抵抗に遭い、道半ばでヴァイマルを離れてしまう。1860年、パリ、ワーグナーは、楽劇『トリスタンとイゾルデ』を上演するためのプロモーションを行い、第1幕への前奏曲を演奏するも、かのベルリオーズでさえ、その斬新さに理解を示すことは無かった... 今でこそ、クラシックの中心で、ドンと構えているロマン主義だけれど、その音楽が生まれた当時は、切っ先鋭く、音楽シーンと対峙していた事実。ロマン主義が生々しかった頃の視点を持つと、ロマン主義の名曲も、また違った新鮮さで以って聴くことができるように感じる。が、そんなロマン主義も、20世紀が迫って来れば、当然、「前衛」というポジションを譲る時がやって来る。そして、どうなったか?切っ先の鋭さを失いながらも、円熟し、場合によっては発酵し、新たな時代と葛藤しつつも、独特な深化を遂げ、20世紀に入ってからも命脈を保った。そんな時代を生きた作曲家、最後のロマン主義者とも言われる存在に注目してみたいと思う。今年、生誕150年を迎える、プフィッツナー...
ということで、前衛と対峙することになったロマン主義の立場を赤裸々に描く、プフィッツナーの代表作。キリル・ペトレンコの指揮、フランクフルト歌劇場、ペーター・ブロンダー(テノール)のタイトルロールで、オペラ『パレストリーナ』(OEHMS/OC 930)を聴く。

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生誕200年、グヴィ、フランス発、シンフォニストへの道... [2012]

今、ヨーロッパを悩ませているのが、イギリスのEU離脱問題。何だか、もう、じれったくなるばかりなのだけれど... 時代を遡って、ヨーロッパを見つめてみると、常に問題を抱えていたのが、フランスとドイツの国境線。いや、現在の西欧の枠組みができた時(フランク王国三分割!にーちゃん、真ん中。弟、東。後妻の子、西... で、にーちゃん、先に死ぬんだもの... )から始まる、イギリスのEU離脱なんて、屁って思えるくらい、延々と繰り返された真ん中帰属問題(解決の鍵が、EUだったり... )。ある時はフランスが東へ張り出し、ある時はドイツが西へ張り出し、時には、ドイツでもフランスでも無い空白地帯(その名残とも言えるのが、ベネルクスであり、スイス... )が出現したり... 一方で、この安定しない国境地帯こそ、西洋音楽の揺籃の地とも言えるから、おもしろい!中世音楽のコンセルヴァトワール、リエージュがあり、最古のミサ曲を伝えるトゥルネーがあり、ルネサンス音楽を牽引したブルゴーニュ楽派フランドル楽派を誕生させている。分断の国境地帯は、創造の結節地帯でもある事実。そして、この両面を体現し作曲家が、今年、生誕200年を迎える。フランスとドイツのハーフ、グヴィ...
フランスのマエストロ、ジャック・メルシエの指揮、グヴィの故郷、ザールブリュッケンのオーケストラ、ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、4枚に及ぶグヴィの交響曲全曲録音(6番までと、シンフォニエッタなど+3曲... )を、2回に分けて取り上げようと思うのだけれど、まずは、その前半、1番と2番(cpo/777 381-2)、3番と5番(cpo/777 379-2)を聴く。

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生誕200年、スッペで、おめでとうございます! [2012]

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明けまして、おめでとうございます。本年も、どうぞ、よろしくお願いいたします。
さて、例年ですと、今年のクラシックの顔は、こんな人たち... と、メモリアルを迎える作曲家たちを紹介するのですが、今年は、正月一日から、早速、聴くよ!というのは、"ウィンナー・オペレッタの父"、スッペの、生誕200年のメモリアルだから!もね、あの景気の良いマーチやら序曲は、正月一日を飾るのに相応しい!やっぱ、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは、スッペ盛りになるのだろうなァ。なんて、思っていたら、鮮やかにスルー!何でだろう?と、改めてスッペについて見てみると、どうもその出自に対して、疑義が出ているようで、1819年に生まれたというのも、今ははっきりしていないらしい。ウーン、肩透かし... だけれど、ま、1819年でもいいじゃないか!何しろ、スッペの音楽を聴くと、ぱぁっと花やぐ!まさに初春って感じ。とにかく、楽しい!ワクワクしちゃいます。そんな一年になりますよう、願いを籠めて、2019年はスッペで聴き初め!
ということで、ネーメ・ヤルヴィの指揮、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の演奏で、スッペの序曲と行進曲集(CHANDOS/CHSA 5110)。いやー、新年の乾杯のシャンパンのようにスパークリング!そんな演奏に乗って、2019年を始めます。

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没後200年、コジェルフ。 [2012]

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クラシックで、チェコというと、スメタナ(1824-84)の『我が祖国』に始まる国民楽派のイメージが強い... そして、ドヴォルザーク(1841-1904)の「新世界」に、ヤナーチェク(1854-1928)のシンフォニエッタ... 定番の人気作品が並ぶわけだけれど、それ以前については、あまり触れられることは無い。が、音楽史を丁寧に見つめたならば、チェコの音楽のピークは、国民楽派の面々が生まれる前、18世紀だったのではないか?と思わせる情景が浮かび上がって来る。18世紀、古典主義の時代、ハイドン、モーツァルトのすぐ傍で、ハイドン、モーツァルトと肩を並べて活躍したチェコ出身の作曲家たち。ナポリ楽派の華麗さは無いにしても、ナポリ楽派を凌ぐほどの作曲家をヨーロッパ中に送り出した、驚くべき地、チェコ。18世紀のイギリスの音楽学者、チャールズ・バーニー(1726-1814)は、チェコを「ヨーロッパのコンセルヴァトワール」と評したほど... この史実、今、あまり伝えられていないことが、もどかしい... ということで、国民楽派以前のチェコ出身の作曲家に注目してみる!
ヤロスラフ・ティエル率いる、ヴロツワフ・バロック管弦楽団の演奏で、今年、没後200年を迎えたコジェルフから、レイハ、ヴォジーシェクと、古典主義からロマン主義へとうつろう時代の、チェコ出身の作曲家による交響曲(CD accord/ACD 148)を聴く。

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苦悩するナショナリスト、サン・サーンス、アルス・ガリカの行方... [2012]

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さて、アルス・ノヴァのマショーに始まり、時代を遡ってゴシック期のノートルダム楽派、そして、トルバドゥール/トルヴェールの音楽を聴いて来た7月下旬、いやー、フランスの中世は、おもしろい!シンプルな中世の音楽だけれど、その背景を見つめると、一筋縄には行かなくて... で、その一筋縄には行かない複雑さが、豊かな文化を生み出し、フランスは中世文化のリーダーとなった。もちろん、音楽においても... しかし、中世末、百年戦争(1337-1453)が、全てを変えてしまう。音楽家たちは、戦火を逃れ、各地に散って行き、以後、フランス音楽は、ローカルな立場に甘んじることに... そうして、4世紀を経た頃、フランス音楽はローカルな位置から脱しようと動き出す。その切っ掛けとなったのが、普仏戦争(1870-71)での敗戦。敗戦が、フランス音楽の覚醒を促す。
ということで、中世から一気に時代を下り、19世紀へ!グザヴィエ・ロト率いる、ピリオド・オーケストラ、レ・シエクルの演奏で、フランス音楽の覚醒を象徴する、サン・サーンスの3番の交響曲、「オルガン付き」(MUSICALES ACTES SUD/ASM 04)を聴く。

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23番から25番へ... モーツァルト、19世紀の扉を開けるコンチェルト... [2012]

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アマデウス、神に愛されし者... なればこその天才性を、遺憾なく発揮し、誰もが知る名曲を次々に生み出した、わずか35年という短い人生は、もはや伝説である。というのが、モーツァルトの一般的なイメージかなと... が、丁寧に見つめるモーツァルト像は、そうカッコいいばかりではない。父の英才教育によって築かれる音楽的素地。やがてヨーロッパ中を旅し、最新の音楽を貪欲に吸収して形成される音楽性。もちろん、抜き出た才能があったことは間違いないのだけれど、モーツァルトの音楽は、モーツァルト自身の努力の賜物だと感じる。そして、今でこそ無敵なモーツァルトも、その当時は様々な外的要因に翻弄され、そういうままならなさから紡ぎ出された音楽というのは、思いの外、人間味に溢れるものなのかなと... それはまた、古典美が尊ばれる古典主義の時代に在って、一味違うものなのかなと... で、そこが、この作曲家の魅力であり、次なる時代の予兆?
ということで、3月はモーツァルト!ルドルフ・ブッフビンダーのフォルテピアノ、ニコラウス・アーノンクールが率いたウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの演奏で、モーツァルトの23番と25番のピアノ協奏曲(SONY CLASSICAL/88765409042)を聴く。

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ロマン主義の結実、交響詩。ヴァイマル、リストの試み... [2012]

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クラシックの顔とも言える、多くの交響曲の名作を生み出した19世紀は、「交響曲」の世紀に思えて来る。が、19世紀、ロマン主義の時代の性格を考えると、絶対音楽を追求した「交響曲」とは相容れないところもあり、もどかしい。そのもどかしさを呑み込んで、大胆に、ロマン主義と「交響曲」を結んだのが、ベルリオーズの幻想交響曲。物語を孕み、表題を持つ交響曲は、絶対音楽の概念を突破した交響曲として、もはや存在そのものがロマンティックなのかもしれない。そして、標題交響曲から、さらに踏み込んだのが、「交響詩」... シンフォニックでありながら、交響曲のような形に囚われることなく、自由に音楽を展開する。まさにロマン主義に合致した交響楽の在り方... というより、19世紀、ロマン主義の時代を象徴する形と言えるのではないだろうか?
ということで、「交響詩」を生み出したリストに注目!マルティン・ハーゼルベック率いる、ピリオド・オーケストラ、ウィーン・アカデミー管弦楽団による、初めて「交響詩」という言葉が用いられた作品、リストの交響詩「タッソ、悲哀と勝利」(NCA/NCA 60260)を聴く。

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おお、フォルトゥナ!区切りの時... [2012]

桜が咲いております。何だか、そういう季節です。
ということは、区切りの季節... 卒業に、入学に、って、そういうセレブレイションは、随分と遠い昔になってしまったものの、年度が改まり、終わりにして始まりの、何か、こう、落ち着かない心地は、未だに苦手だったり... 区切りを付けるというのは、結構、パワーがいるように感じる。でもって、当blogも一区切り。メルクルが率いたリヨン国立管による、ドビュッシーのシリーズ、vol.7(NAXOS/8.572675)に始まって、古楽から現代まで、ピリオドもモダンも、まるでごった煮のように節操無く聴いて来たわけだが、今回を以って「2012」を閉じる。
で、その最後は、エサ・ペッカ・サロネンの指揮、ロサンジェルス・フィルハーモニックの演奏による、ショスタコーヴィチの幻のオペラ、『オランゴ』と、4番の交響曲(Deutsche Grammophon/479 0249)。クリスティアン・ヤルヴィ率いる、MDR交響楽団と、MDR放送合唱団らによる、オルフの『カルミナ・ブラーナ』(SONY CLASSICAL/88725446212)の、2タイトルを聴く。

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古典派からロマン主義へ、華麗に踏み出される一歩、フンメル! [2012]

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激動の時代というのは、音楽もテンションが高かったりする?
アントニーニのベートーヴェンの交響曲を聴いて、ふとそんなことを考える(もちろん、アントニーニ自身のテンションも考慮しなくてはならないのだけれど... )。ちょうどベートーヴェンが活躍した頃、フランス革命がカオスに陥り、輝かしき共和制の果てに、ベートーヴェンを幻滅させた帝政が出現。その皇帝によって、ヨーロッパ中が戦争に引き摺り込まれ... そんな、古典派からロマン主義へとうつろう頃、激動の時代の空気感の中、生まれた音楽は、何か、テンションが高いように感じる。音楽もまた、時代の壁を乗り越えるには、テンションが必要だったか... 「過渡期」という言葉には、それが不安定な状態であるがゆえに、弱さのようなものをイメージさせるのだけれど、改めて見つめてみると、新たな時代を手繰り寄せようという力強さに溢れているのかもしれない。
ということで、古典派からロマン主義へとギアを入れた作曲家、ピアニストとしてベートーヴェンと人気を二分したフンメル!アレッサンドロ・コンメラートの弾くピリオドのピアノで、BRILLIANT CLASSICSのフンメル担当、ディディエ・タルパンの指揮、スロヴァキアのピリオド・オーケストラ、ソラメンテ・ナトゥラーリの演奏による、フンメルのピアノ協奏曲集(BRILLIANT CLASSICS/BRL 94338)を聴く。

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