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古典主義とロマン主義の狭間で、アイブラー、『四終』。 [2005]

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「令和」、と聞いて、まず、びっくりして、呑み込むのに少し時間が掛かった。なぜかというと、「平成」からすると、凄く上品(令夫人とか、令嬢とか、そういうイメージ?)に感じられたから... でもって、出典が提示されて、「令和」の二文字の背景を知ると、今度は、びっくりするほど、リリカル... "初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす"ということは、月が清んだ光を放つ夜、恋人を待つ、恋人に逢いに行く... みたいなニュアンスを感じたりしなくない?何だか、頭の中で、カスタ・ディーヴァが流れて来そう... で、月、風、花の絶妙なバランスが生む空気感たるや!万葉の先輩たちの、この繊細さに近付きたい!しかし、情感に富む「令和」から、「平成」の二文字を見つめると、何だかヤッツケ感を感じてしまう。平らに成るか... いや、このフラットさ、もの凄く庶民的で、それに慣れ切ってしまったからこその、呑み込むのに少し時間が掛かった「令和」なのだろう。それにしても、2つの元号が並ぶ姿に、不思議な感じがする。「平成」への気安さと愛着と惜別と、「令和」の少し刺激的で、凛とさせる上品なブランニュー感、いろいろが綯い交ぜになって、今は何とも言えない心地... これからひと月、そんな心地の中をたゆたいつつ、ひとつの時代が終わることを噛み締めて行くのですね。今は、頭の中、『ばらの騎士』の最後の三重唱です。は、さておき、当blog、今月も、四旬節対応...
ということで、17世紀、18世紀と、いろいろな教会音楽を聴いて来て、ここから、19世紀へと踏み込みます。ヘルマン・マックス率いる、ライニッシェ・カントライのコーラス、ダス・クライネ・コンツェルトの演奏、エリーザベト・ショル(ソプラノ)、マルクス・シェーファー(テノール)、ペーター・コーイ(バス)のソロで、アイブラーのオラトリオ『四終』(cpo/777 024-2)を聴く。

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春の目覚め... ランゴー、芳しき、交響曲。 [2018]

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何だか、万葉への思いが、フツフツと湧いてしまっている、単細胞生物です。
いや、「令和」がなけらゃ、『万葉集』への関心なんて、なかなか沸かなかったよ。と、つくづく... そして、これまでの不勉強をですね、反省するわけです。でね、万葉が素敵過ぎて、今さらながらに、ビックリしております。初春の令月、風和らいで、梅は開花し、蘭が薫るのです(「梅披鏡前之粉」、「蘭薰珮後之香」、この見事な対が、たまらん!)。それも、ファンデみたいな梅の花の色に、フレグランスを付けたアクセサリーからさり気なく薫るみたいに蘭の香りが漂うというね、現代に通じる万葉のお洒落センス!ちょっと、素敵じゃない?「平成」には無かったよ、こういうロマンティック... てか、これまでも無かったのでは?厳めしくて元号、というイメージを覆す、『万葉集』というチョイス。万葉のたおやかさ、におやかさには、現代っ子感覚すら見出せる気がする(花見をしますよ、という扉書きに向かって、やれ国粋主義だ、やれ右傾化だって、アナタ、それこそエイプリル・フールだよ... )。そんな出典のままに、「令和」の時代が、しなやかで、多様性に溢れる時代となって欲しい!
という願いも籠めまして、令月、風和らいで、春が目覚めるブルーミンな音楽を... サカリ・オラモの指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏、アヌ・コムシ(ソプラノ)の歌で、ランゴー、交響曲、第2番、「春の目覚め」(DACAPO/6.220653)を聴く。

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ロマン主義を古典美に昇華する、シュポーア、『最後の審判』。 [2014]

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さて、桜、見て来ました!でもって、何だかフワァーっとしてしまう(って、飲んではいませんよ... )。いや、桜には、ある種の陶酔を引き出す、何かがあるような気がする。とかく、情緒やら、その精神性について語られることの多い桜だけれど、実際に、その姿を前にすると、理屈抜きの多幸感に包まれるようで... 桜の下のドンチャン騒ぎも、日本人に限らず、桜に熱狂してしまうあたりも、桜という木が持つ某かの力を感じてしまう。そもそも、木が丸ごと花だらけって、ちょっと尋常じゃない... ほんのり桜色とかで、巧みにごまかされているけれど、桜という花木は、どこか超現実的な気がしてしまう。ぱっと散ってしまうところも、夢幻を見るようで、超現実感を際立たせるし... 何よりも、その中毒性たるや!何だかんだで、毎年に見に行っている... 毎年、同じなのに... 美しいものを愛でる、というのは、当たり前にしても、桜には、それ以上の何かがあるのかも?そんなことをふと思った平成最後の桜、花見(って、桜じゃなくて、梅だけど... )の扉書きに因む新元号、令和の発表もあり、いつもより、桜パワーが効いて、よりフワァーっとしてしまったか?いやいやいや、気を引き締めて行かねば!まだまだ四旬節期間中(思ったより長い印象... )であります。ということで、ガツンと気を引き締めるために、カタストロフ...
前々回、アイブラーに続いての終末オラトリオ... フリーダー・ベルニウス率いる、シュトゥットガルト室内合唱団、ヨハンナ・ヴィンケル(ソプラノ)、ソフィー・ハームセン(アルト)、アンドレアス・ヴェラー(テノール)、コンスタンティン・ヴォルフ(バス)、そして、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の演奏で、シュポーアのオラトリオ『最後の審判』(Carus/83.294)を聴く。

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春と呼ばずにいられない... ベートーヴェンの「春」。 [2010]

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四旬節、ならばと、がっつり教会音楽と向き合い中... が、四旬節(2019年の四旬節は、3月6日から4月18日まで... )って、思いの外、長い!いや、がっつり向き合ってこそ感じられる長さかも... イエスが、磔刑に処せられる前、40日間に渡って、荒れ野で修行をしたことに因む四旬節。この期間は、華美なものは控えましょう、ということで、かつて、オペラの上演が停止されたりと、音楽的楽しみは抑制されていた... のだけれど、聖書を題材とするオラトリオが発展!そもそも旧約聖書はスペクタキュラーであって、新約聖書はドラマティック!そのあたりを掻き立てれば、音楽的な楽しみは十分に確保できた?そう、18世紀のオラトリオは、まるでオペラのようだった!って、やっぱり当時の音楽ファンも、四旬節は、長いと感じていたのかもしれない。思い掛けなく魅力的なオラトリオが多いのも、そうしたあたりが反映されているように感じる。てか、今、身を以って感じております。そして、こういう体感って、大事かも... 大事なのだけれど、オラトリオも、少し、飽きた?で、今日は、四旬節を休憩(キリスト教徒じゃないから、大したヘタレです... )。教会の外へと出て、春を感じてみたい!
そこで、たっぷりと春を感じさせる音楽... ピリオドのヴァイオリンの名手、ヒロ・クロサキと、リンダ・ニコルソンのピリオドのピアノによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集から、Vol.2、4番と、5番、「春」を収録した1枚(ACCENT/ACC 24212)を聴く。

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ロマン主義がバッハと出会う、メンデルスゾーン、『パウルス』。 [before 2005]

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17世紀半ば、対抗宗教改革の波に乗って、ローマで誕生したオラトリオ... 瞬く間に多くの作品が作曲されるようになり、18世紀に入ると、オペラと伍して華麗に大変身を遂げる。のだけれど、オラトリオが、オラトリオらしく大成するのは、フランス革命後、教会の権威が大いに揺らいだ後、19世紀だったように思う。下手なことは言えないけれど、オラトリオが題材とする聖書の世界は、実はロマンティック?19世紀のロマン主義と、相性が良いような気がして... それと、ナポレオン戦争(1803-15)がヨーロッパ中を覆い、フランス流の世俗主義が各地に影響を及ぼすと、作曲家たちは、それまでの教会における実用音楽とは異なる、芸術音楽としてのオラトリオを生み出す。ロマン主義との共鳴と、教会から解き放たれたことで、オラトリオは、より普遍的な宗教性を放ったか... いや、ある意味、真っ直ぐな時代、19世紀だったからこそ、オラトリオは、より真摯に表現され、オラトリオらしく大成したように感じる。アイブラーシュポーアのオラトリオを聴いて来て、そんなことを考えた。
ということで、フィリップ・ヘレヴェッヘ率いるシャンゼリゼ管弦楽団の演奏、メラニー・ディーナー(ソプラノ)、アネッテ・マルケルト(アルト)、ジェイムズ・テイラー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バス)のソロ、コレギウム・ヴォカーレ、ラ・シャペル・ロワイアルの合唱で、メンデルスゾーンのオラトリオ『パウルス』(harmonia mundi FRANCE/HMC 901584)を聴く。

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春を接いで、ドビュッシー、ラフマニノフ、ストラヴィンスキー... [2017]

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音楽と四季の相性は、良いように思う。ヴィヴァルディの『四季』という傑作もあるし... いや、四季のうつろいは、目で認識されるものだけれど、四季を創り出すのは大気であって、大気を震わせる芸術、音楽は、より根源的に季節を表現できるのかもしれない。ふと、そんなことを考えたのは、4月に入って、音楽における"春"に注目してみて... 桜が象徴するように、春ほど視覚に訴えて来る季節は無い。が、春の麗(うるわ)しさ、麗(うら)らかさは、活き活きと音楽でも表現される。例えば、先日、聴いた、ランゴーの「春の目覚め」や、ベートーヴェンの「春」。そこから聴こえて来たのは、春ならではの空気感を知るからこそ感じられる、音楽が紡ぎ出す春らしさか... 特に、ベートーヴェンの「春」は、"春"を念頭に作曲されていなかったものの、後世、それを「春」と呼ばずにいられなかったことを思うと、人間は、季節の表情に、某かの音楽を聴いているのかもしれない。
ということで、春尽くしの1枚... ヴァシリー・ペトレンコ率いる、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、ドビュッシーの交響的組曲『春』、ラフマニノフのカンタータ『春』、そして、ストラヴィンスキーの『春の祭典』(onyx/ONYX 4182)を聴く。

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ロマン主義の深化、そして、その先へ... リスト、『キリスト』。 [before 2005]

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ノートルダム大聖堂が、まさか、焼け落ちるとは... 音楽史から見つめれば、ゴシック期の音楽の中心であり、まさにノートルダム楽派を生んだ場所。それだけに、当blog的にも、その喪失感はただならず(ニュースの映像、まともに見られず... )。また、修復工事中の失火ということで、何とも遣る瀬無い思いでいっぱいに... 振り返れば、度重なるテロ、暴動と、パリには、破壊のイメージが付き纏う昨今、再び、かつての"花の都"の芳しさを取り戻してくれることを、切に願うばかりです。しかし、再建案を公募って... 一度、破壊されている、フランス革命以前のノートルダム大聖堂の姿を取り戻す絶好のチャンスじゃない?フランス人って、時々、わからなくなることがある。ルノーの寄生体質もそうだけど、世界を圧倒するブランド力を持ちながら、活かし切らない... あるいは左派気質か?世界が垂涎の歴史や伝統の重みを、変に軽んじるところ、あるような... いや、もっとドンと構えて輝いて欲しい!我々にとってのフランス先輩は、永遠に「おフランス」なんだから!アッレー!!!
は、さて置き、四旬節、様々な教会音楽を聴いて参りました。そして、本日、イエスの受難の日、聖金曜日!クライマックスです。ということで、総決算の大作... ジェイムズ・コンロンの指揮、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の演奏、ベニタ・ヴァレンテ(ソプラノ)、マルヤーナ・リポフシェク(メッゾ・ソプラノ)、ペーテル・リンドロース(テノール)、トム・クラウゼ(バリトン)、スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団の歌で、リストのオラトリオ『キリスト』(apex/2564 61167 2)を聴く。

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春の訪れを歌う!バッハ、復活祭オラトリオ。 [2011]

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今から一ヶ月半ほど前、3月6日に始まった四旬節。先週、4月14日に、山場となる聖週間に突入。4月19日には、クライマックス、主の受難、聖金曜日(3/19)を迎え、一昨日、4月20日、46日に及ぶ節制の日々が終わりました。いや、キリスト教徒でもないのに、かつての人々の音楽生活を追体験してみようと、華美な世俗音楽は控え、教会音楽(途中若干休憩しましたが... )を聴いて来た、この四旬節。改めて、教会で歌い奏でられていた音楽の多彩さに驚かされた!って、その一端を浚った程度なのだけれど... で、かつて、教会音楽は、完全に、世俗音楽のパラレルとして存在していたことに気付かされた。オペラがあれば、オラトリオがあり、室内ソナタがあれば、教会ソナタがある。クラシックにおける教会音楽は、すっかり一カテゴリーとなってしまっているけれど、本来は、一カテゴリーなどに収まり切らない規模があった教会音楽。聖歌やミサに留まらないその広がりが視野に入って来ると、音楽史は、より息衝いたものに見えて来る。という、四旬節、節制どころか、新たな視点を持てた、充実の46日でした。そして、その体感とともに、迎えた、復活祭... ハッピー・イースター!
ということで、マシュー・ホールズが率いた、レトロスペクト・アンサンブルの演奏と合唱、キャロリン・サンプソン(ソプラノ)、イェスティン・デイヴィス(カウンターテナー)、ジェイムズ・ギルクリスト(テノール)、ピーター・ハーヴェイ(バス)の歌で、バッハの復活祭オラトリオ(LINN/BKD 373)。四旬節を体感(実にヘタレなものではございますが... )、しての復活祭が、たまらない!

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我々の時代、平成のクラシックを振り返る。 [overview]

今日は、ちょっと趣きを変えまして、自身のことを少し語りつつ始めてみようと思います。
みなさんは、初めてクラシックのレコード/CDを買った時のことを覚えておりますか?ワタクシが初めてクラシックのCDを買ったのは、平成が始まって数年が経った頃... ズラーっと並んだクラシックのCDを前に、どうしよう、どうしようと、もの凄く時間を掛けて選んだのが、廉価盤のショルティが指揮するチャイコフスキーの4番の交響曲でした。振り返ってみれば、初々しかった。不慣れな場所で、ソワソワしながら、渾身の力を籠めて手に取った一枚... そこから、ズブリ、ズブリと、底なし沼へと踏み出して行き、とうとう深みに嵌ってしまったのが、ガーディナーの指揮によるベートーヴェンの「田園」(1994年のリリース... )。偶然、ラジオで聴いた、ピリオドによるベートーヴェンに、衝撃(初めてピリオド・アプローチというものを認識... )を受ける!同じ「田園」でも、こうも違うかと... で、この時、クラシックを本当の意味で楽しめるようになった気がします。楽しめる... そう、深みに嵌ったのです。しかし、深みに嵌っても、泳げるようになりました。潜れるようにもなりました。一方で、沼の規模を知り、いや、沼どころか大洋であることを思い知り、遥か水平線に向かって、ただただ泳ぐ平成の日々でした。
ということで、間もなく終わる平成に捧げます!平成クラシック世代が、クラシックの平成を、記憶の限り、辿ってみる。ま、スタートが廉価盤のショルティが指揮するチャイコフスキーの4番の交響曲だけに、マリア・カラスを生で聴いたとか、生のカラヤン、バーンスタインは凄かったとか、そういう戦後クラシック世代の先輩方には、到底、敵いませんが、語ってみちゃう?

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春のヴァルプルギスの夜の夢... 幻想交響曲。 [2016]

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桜が散って、復活祭がやって来て、春本番かと思ったら、春を通り越して、一気に夏日になって、今、寒いという... 春は、気紛れです。さて、日本的には、改元が近付いて来て、何となく、再びの年末みたいな気分。ゴールデン・ウィークに突入し、街中が一気に静かになると、ますます以って年末感漂って来て、不思議な心地がしております。が、それも満更ではないようで、遠い昔、キリスト教が到来する以前のヨーロッパでは、ちょうど今頃が年末みたいな時期だったとか。5月1日、春を祝う五月祭が、正月のような節目で... となると、4月30日は、大晦日。それが、世に言うヴァルプルギスの夜。クラシックでもお馴染みの、おどろおどろしい魔女たちの宴、サバトが開かれる夜。なのですが、元々は、生者と死者を隔てる境界が薄れる日とされていたとのこと... 日本でいうところのお彼岸の感覚に近かったのかもしれない。だからか、ちょうど半年後の10月31日、ハロウィンとは、対(春は魔女が騒ぎ、秋はお化けが訪ねて来るのね... )になっていて、おもしろい。
ということで、かつての新年(そして、日本は、令和!)を迎える前に、ヴァルプルギスの夜が彩る音楽を... ダニエル・ハーディング率いるスウェーデン放送交響楽団の演奏で、ベルリオーズの幻想交響曲(harmonia mundi/HMC 902244)を聴く。

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