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マンハイム楽派、古典主義の先陣を切る交響曲の精悍! [before 2005]

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モーツァルトの音楽に、バロックを感じることは、ほとんど無い。一方で、バロックの息子世代、ヴィルヘルム・フリーデマン、カール・フィリップ・エマヌエルのバッハ兄弟の音楽を改めて聴いてみると、モーツァルトの萌芽を見出し、とても興味深く感じられる。モーツァルトの音楽は、その前の世代の様々なスタイルを、巧みにひとつに撚って、生み出されたもの。けして、天から降って来たものではない。18世紀の音楽は、前半(バロック)、バッハ、ヘンデル、ヴィヴァルディ、後半(古典主義)、ハイドン、モーツァルトの5人に集約されて紹介されがち... けれど、19世紀の音楽同様、様々な個性があり、興味深い地域差もあって、より複雑な展開を見せるのが18世紀の音楽の真実。前半と後半、という風に、安易に二分できるものではない。何より、前半から後半へと変容する過程、ポスト・バロックの音楽こそ、18世紀の音楽の肝であり、19世紀の音楽へと至る起点のように感じる。
で、そんな起点のひとつ、モーツァルトも大いに刺激を受けたマンハイム楽派を見つめてみようかなと... コンチェルト・ケルンの演奏による、シュターミッツツ親子、カンナビヒら、マンハイム楽派の面々による、交響曲、協奏曲を集めたアルバム、"MANNHEIM: THE GOLDEN AGE"(TELDEC/3984-28366-2)。まさに黄金期!輝かしき、マンハイムの音楽を聴く。

1606年、ドイツ南西部、フランス国境にも近い、ライン川とネッカー川の合流点に建設された要塞に端を発する計画都市、マンハイム。交通の要衝ということもあり、度々、戦禍に見舞われるも、1720年、プファルツ選帝侯の宮廷が移されたことを切っ掛けに、華麗なる宮廷都市としての発展が始まる。プファルツ選帝侯、カール・フィリップ(在位 : 1716-42)は、ヴェルサイユを模して豪奢な宮殿を建設(1737年に完成... )、やはり、ヴェルサイユ流に宮廷音楽にも力を入れ、1741年、チェコ出身のヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、ヨハン・シュターミッツ(1717-57)を招き、宮廷のオーケストラの充実を図る。こうして動き出したマンハイム楽派は、1743年、新たなプファルツ選帝侯、カール・テオドール(在位 : 1742-99)を迎え、その発展は加速!1747年には、後にストラスブール大聖堂の楽長となるリヒター(1709-89)が加わり、1753年には、ドイツ・オペラの先駆者で、モーツァルトも大きな影響を受けたホルツバウアー(1711-83)も加わって、音楽の一大拠点が出来上がって行く。そうしたマンハイムには、若い才能も集まって来て、そのオーケストラは他に類を見ない腕利き揃いのスーパー・オーケストラに成長。このオーケストラを基盤に、マンハイム流の交響曲が大きく成長を遂げる。
さて、"MANNHEIM: THE GOLDEN AGE"の1曲目は、まさに黄金期の集大成とも言える作品、楽師長(楽長が有名無実化していたので、実質上のマンハイムのシェフ... )、カンナビヒ(1731-98)の交響曲(track.1-4)。1778年、バイエルン選帝侯を兼ねることになったカール・テオドール候が、マンハイムからミュンヒェンへと宮廷を移すこととなり、マンハイム楽派は終焉を迎えるのだけれど、その頃に作曲された交響曲... だからだろうか、マンハイムの思いの丈が詰まったような、壮観なサウンドを繰り広げて、輝かしく、それでいて、ちょっと切なさも感じさせるのか... 何より、見事に古典主義であって、充実のオーケストラ・サウンドに圧倒される。その聴き応えは、当時のハイドン、モーツァルトを凌駕していねのかも... そして、2曲目、マンハイム楽派の創始者とも言える楽師長、ヨハン・シュターミッツの息子、カール(1745-1801)のチェロ協奏曲(track.4-6)。ハイドンの13歳年下で、モーツァルトの11歳年上のカール、ということで、それはもう立派な古典派。ハイドンのような流麗で美しいチェロ協奏曲を聴かせてくれる。続く3曲目は、マンハイムのオーケストラに加わり、わずか6年、26歳でこの世を去った夭折の作曲家、フィルス(1733-60)の交響曲(track.7-10)。で、1750年代後半に書かれただろうその交響曲は、まさに疾風怒濤!いや、疾風怒濤が本格化するのが1770年代とすると、マンハイムの時代を先行く感覚は、凄い... 続く4曲目、楽師長、ヨハン・シュターミッツの交響曲(track.11-15)は、1750年代前半の作品... フィルスよりも遡る作品のはずなのに、これがまた古典主義を高らかに謳っていて、驚いてしまう。もちろん、前古典派的な部分も残しているのだけれど、まるでモーツァルト!いや、モーツァルトが間もなく生まれるという頃に、モーツァルトのひな型は存在していた!?古典主義の源泉、恐るべしマンハイム楽派...
という、マンハイム楽派の交響曲を、丁寧に取り上げるコンチェルト・ケルン。壮観で輝かしいサウンドを見事に響かせながら、18世紀半ば、ヨーロッパ中で評判を呼んだマンハイムの勢いを、活き活きと再現するのか... そのサウンドに触れていると、まるでマンハイムの宮廷を訪れたかのような気分にさせてくれる。そして、大バッハが逝って間もない頃(1750年代)から、モーツァルトがマンハイムを訪れた頃(1770年代)までを、コンチェルト・ケルンならではのテンションの高さで弾き切る爽快感!そこには、腕利き揃いのコンチェルト・ケルンならではの、一糸乱れぬアンサンブルがあって、それがまた、18世紀のマンハイムのオーケストラと共鳴するのか、見事な臨場感を生み出す。交響曲が、宮廷を彩る祝祭であり、エンターテイメントだったマンハイム... それは、音楽史を見渡しても、とても希有なことだったと思うのだけれど、そういう交響曲を蘇らせるコンチェルト・ケルン。その演奏はとにかく刺激的で、輝いていて、ワクワクさせてくれる。

MANNHEIM: THE GOLDEN AGE
CONCERTO KÖLN


カンナビヒ : 交響曲 変ホ長調
カール・シュターミッツ : チェロ協奏曲 第4番 ハ長調 *
フィルス : 交響曲 ト短調
ヨハン・シュターミッツ : 交響曲 ト長調
フレンツル : 交響曲 第5番 ハ長調

ヴェルナー・マツケ(チェロ) *
コンチェルト・ケルン

TELDEC/3984-28366-2




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