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スポーツの秋を聴く?「気晴らし」から、交響的"運動"まで... [before 2005]

運動会シーズンは終わりましたか。日本シリーズはソフトバンクでした。そう言えば、先月は、東京オリンピック、50周年でもありました。そして、今月、羽生選手の激突に衝撃が走り... その後味の悪さを払拭してくれるような本郷選手の快挙!ラッキーとはいえ、惜しみない努力の賜物... で、今は、錦織選手の大躍進が注目の的!スポーツの秋ですね... 芸術の秋食欲の秋と来たら、やっぱりスポーツの秋を取り上げないわけには行かない!ということで、クラシックの中のスポーツ... そんなのあるか?と思いきや、意外とあったり...
ジャン・マルク・ルイサダのピアノで、サティの『スポーツと気晴らし』(Deutsche Grammophon/439 767-2)、ジャン・フルネが率いた、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、オネゲルの交響的断章、第3番、「ラグビー」(DENON/COCO-78831)を聴く。


サティ的視点による、シュールな、スポーツと気晴らし...

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パリの高級モード誌、『ガゼット・デュ・ボン・トン』(1912年創刊、後に『ヴォーグ』に吸収... )で活躍したイラストレーター、シャルル・マルタンの作品(20枚)に、ピアノ曲を添えるという、『ガゼット・デュ・ボン・トン』の発行者、ルシアン・ヴォージュルの企画(1914)、サティの『スポーツと気晴らし』(track.8-28)。「スポーツ」とは言っても、そこはサティ... 「食欲をそそらないコラール」(track.8)に始まって、「イタリア喜劇」(track.11)や、「カーニヴァル」(track.17)、でもってなぜに「蛸」(track.19)?挙句、「いちゃつき」(track.11)まで... シャルル・マルタンの絵に従ったまで、とは言え、スポーツにこだわらない不可思議な選曲が、まったく以ってサティ!で、それぞれに、サティの詩... というか、コメントが付されているのだけれど、ルイサダによる演奏は、それをジャンヌ・モローが朗読するという、スペシャルなおまけ付き。で、その渋い声が、サティの飄々とした音楽に乗ると、シュール!特に、最後の「テニス」(track.28)の、"Play?"、"Yes!"など、観客の反応が、ウケる。
という具合に、フランスの名女優、「ジャンヌ・モロー」の存在が、最高にスパイスを効かせる、ルイサダによるアルバム... サティのシュールな世界から一転、後半は、プーランクが絵本に音楽を付けた『ぞうのババール』(track.37)。プーランクの音楽、ルイサダのピアノももちろん素敵なのだけれど、名女優の味わい深い朗読!フランス語が解らなくても、不思議と聴き入ってしまう魔法。久々に聴いてみると、余計に感じてしまう。何だろう?この感覚... 重みのある人生を経て滲み出て来るのか、飾らない中に浮かぶ温もりと、やさしさと... サティでもそうなのだけれど、淡々としていながら、音楽に引けを取らない雄弁さを見せるモローの語り。そんなモローを前にすると、ルイサダのピアノが思い掛けなく色彩感を際立たせていて、印象的...
サティの飄々とした音楽から、嫌味にならないほどに雰囲気を引き出しつつ、プーランクの絵本の世界を表情豊かに鳴らすルイサダのタッチは、ピアノそのものが持つ明快さと、色彩感を素直に繰り出して、どこか無邪気にも感じられる。けれど、モローの声が加わることで、響きに見事な化学変化をもたらす。あえて音楽と言葉の違いを浮かび上がらせて(モローの存在感の大きさゆえ... )、その異質さを抱えながらも寄り添う、何とも言えない佇まい。けしてどちらかの側に流されてしまうのではない、音楽と言葉の間に緊張感も漂い、そうして漂い出す、ボエジー!今さらながらに「フランス」のポエジーに圧倒される。

POULENC: L'HISTOIRE DE BABAR ・ SATIE: GYMNOPÉDIES
SPORTS ET DIVERTISSEMENTS, ETC. -MOREAU/LUISADA

サティ : ヴェクサシオン
サティ : グノシェンヌ 第3番 *
サティ : ジムノペディ 第1番
サティ : ヴェクサシオン
サティ : グノシェンヌ 第1番 *
サティ : グノシェンヌ 第2番 *
サティ : ヴェクサシオン
サティ : 『スポーツと気晴らし』 *
サティ : ヴェクサシオン
サティ : 『冷たい小品集』 から 「逃げださせる歌」
サティ : 『最後から2番目の思想』
サティ : ヴェクサシオン
プーランク : 『ぞうのババール』 *

ジャンヌ・モロー(語り) *
ジャン・マルク・ルイサダ(ピアノ)

Deutsche Grammophon/439 767-2




オネゲル的解析による、交響的"運動"、ラグビー!

COCO78831
サティとは違って、ガッツリとスポーツを描き出すオネゲル!時に、交響的"運動"とも訳されるシンフォニック・ムーヴメントから、1928年に作曲された「ラグビー」(track.1)を聴くのだけれど... まさに"運動"としての動きが充満するこの作品、ラグビーというスポーツが持つ重量感をしっかりと鳴らして、一進一退の攻防をダイナミックに描き出し、まったくおもしろい!スポーツと音楽、一見、相反するもののように感じられるわけだけれど、いやいや... ラグビーのゲームを巧みに音楽に変換して、モダニスティックにダイナミックな音楽を展開してしまうオネゲルのセンスは、大したもの。改めて聴いてみると、その巧みさに、唸ってしまう。
さて、フルネ、オランダ放送フィルによるこのアルバム、オネゲルの音楽世界の広がりを丁寧にカヴァーしていて... もうひとつ、交響的"運動"、代表作である、「パシフィック231」(track.2)。鉄ヲ、オネゲルの真骨頂とも言える、蒸気機関車の動きを音楽にした作品。いやー、蒸気機関車の駆動の独特さと、そこから生まれるヘヴィーでパワフルな魅力!これぞ「近代音楽」だなと... で、「ラグビー」同様、蒸気機関車の"運動"が、巧みに音楽へと落とし込まれていて、さすが、鉄ヲ... その観察眼の鋭さたるや!そんな音楽に続くのが、擬古典主義による作品、フルート、イングリッシュ・ホルンと弦楽のためのコンチェルト・ダ・カメラ(track.3)。バロック期、コンチェルトの黎明に遡る古風なスタイルは、シンフォニック・ムーヴメントからは一転、清流のような美しさを湛え... 続く、交響詩「夏の牧歌」(track.4)では、ロマン主義(ドイツ的)と印象主義(フランス的)がナチュラルに融合し、独特の清々しさを放ち... 最後は、3番の交響曲、「典礼風」(track.5)。タイトルの物々しさそのままに、黙示録的な音楽が繰り広げられつつ、やがて平安が訪れるドラマティックさには、強く惹き付けられる。
という具合に、オネゲルを俯瞰するフルネ、オランダ放送フィル... 録音の良さもあって、思い掛けなくオーケストラの隅々までが光が充たされ、全てが明晰に響き出す快感!いやー、改めて思い知った、マエストロ・フルネのクラリティの高い音楽作り... バーバリスティックな印象を受けるシンフォニック・ムーヴメントも、構造こそを意識し、動きそのものをより克明に捉えて生まれる迫力に魅了される。で、そうした清廉な響きを以って見えて来る、オネゲルの音楽世界の瑞々しさ!フランス6人組のひとりでありながら、スイスにルーツを持つオネゲルの独特のセンスが際立ち、惹き込まれる。

オネゲル : 《パシフィック 231》、他 ●フルネ=オランダ放送フィル

オネゲル : 交響的断章 第2番 「ラグビー」
オネゲル : 交響的断章 第1番 「パシフィック 231」
オネゲル : コンチェルト・ダ・カメラ 〔フルート、イングリッシュ・ホルンと弦楽のための〕
オネゲル : 交響詩 「夏の牧歌」
オネゲル : 交響曲 第3番 「典礼風」

ジャン・フルネ/オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団

DENON/COCO-78831




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