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ロシア音楽の創造の爆発、『春の祭典』、 [before 2005]

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時代を遡って、また引き返して、再び100年前へ...
始まりは、1913年、パリ、シャンゼリゼ劇場での、フォーレのオペラ『ペネロープ』。そこから50年ごとに遡って、1713年、ロンドン、クイーンズ劇場での、ヘンデルのオペラ『テーゼオ』に行き着いて、今度はおおよそ半世紀ごとに時代を下って来たわけだが。チャイコフスキーの最初の交響曲からおおよそ半世紀、再び、1913年、パリ、シャンゼンリゼ劇場へ。今度は、ストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』!初演100年周年を迎え、改めて大きな注目を集めた『春祭』だったけれど、当blogにおいても、これまで取り上げた『春祭』をざっと振り返ってみたりして... やっぱり時代を切り拓いた作品は凄い... 何より、大好きな作品なのだなと、つくづく... ということで、2013年も押し迫ったこの年の瀬、ダメ押し的に、もう1タイトル取り上げてしまう!
ヴァレリー・ゲルギエフ率いる、マリインスキー劇場管弦楽団による、ロシアが炸裂する、ストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』(PHILIPS/468 035-2)を聴く。

頭をガッツーン!!!と、ブン殴られたような思いにさせられる、ゲルギエフ+マリインスキー劇場管の『春祭』(track.1-14)。ある意味、オーケストラによる闘魂注入のように思っているのだけれど... ブーレーズあたりの、近代音楽ならではの、不協和音、変拍子を、シャープに、クリアに鳴り響かせる演奏とは違って、ロシアの大地に育ったストラヴィンスキーの、かえって非近代的な文化的背景を浮かび上がらせるのが、ゲルギエフ流だろうか。モダニズムというイディオムで捉える優等生的な演奏とは一線を画す、一切、格好をつけず、音をブチまけるバーバリスティックさが、我が道を貫いていて、気持ちいい。この演奏を初めて聴いた時には、あっ晴れ!と、ただただ感服させられたのだけれど。改めて聴き直してみると、それだけではないのかも...
バーバリスティックな中にも、様々に鮮やかな色彩が渦巻き、実はカラフル?ついゲルギエフならではのパワフルさに耳が行ってしまうものの、そのパワフルなサウンドを丁寧に見つめてみると、これまでとは違った風景が広がるようで... そこには、近代音楽の、過去を破壊する暴力的な側面ばかりでなく、ロマンティックな物語が浮かび上がるのか... もちろん、西欧的なロマンティシズムとは違う... 仄暗く、東方的で、濃密にミステリアス(アジア的な不可思議さ?)、その異様さにただならず眩惑されてしまう。そういう点で、オーケストラ・ピースとして確立されている『春祭』とは違う、ニジンスキーがバレエとして描き出した本来の姿、初演での土着的な雰囲気により忠実なのかもしれない。深い森のひんやりとした空気に包まれ、本物の土の臭いを嗅ぎ、底なし沼のような湿地のおどろおどろしい泥を足下に感じつつ、祭祀の熱狂の向こうに、超現実的な風景が浮かび上がる。ロシアの土着性と、そこに孕むロシアのサイケデリック(例えば、カンディンスキーやマレーヴィチを生み出したような... )さを行き来し、絶妙に重ね合わせて生まれる、深く、底知れない音楽は、モダニズムというだけでは到達し得ない、音楽を越えたロシアの原初の魂を捉えて、ただならない。いや、ゲルギエフ+マリインスキー劇場管、恐るべし!
という、『春祭』の後で繰り広げられるのが、スクリャービンの「法悦の詩」(track.15)。『春祭』初演の5年前、1908年に完成された交響曲。だが、ここでも、ゲルギエフ+マリインスキー劇場管のロシア性が、この作品の息苦しくなるような鮮やかさを徹底して鳴らし、聴く悦びに留まらない、より身体的な悦びをもたらすような圧倒的なうねりを繰り出して来る。また、そういう演奏に触れて、改めてこの作品の特異さを思い知らされ。さらには、『春祭』の後に「法悦」という運びが、ロシアの音楽の禁秘が解かれるようで、ゾクゾクさせられる。そういう、西欧を超越してしまうロシア音楽の圧倒的な姿に、今さらながらに感服させられ、驚かされる。
が、こうした音楽が、チャイコフスキーが1番の交響曲(1866)が作曲されてから、およそ半世紀で生み出されたことに、また驚かされる。ロシア5人組が血気盛んにロシア独自の音楽を模索し始めていた頃、マリインスキー劇場が開場(1860)し、サンクト・ペテルブルク音楽院(1862)、モスクワ音楽院(1866)がやっと誕生した1860年代、ロシアの音楽はあらゆることが手探りだったはずだが、50年で、恐るべき個性を育み、西欧の伝統を破壊さえして、センセーションを巻き起こしたわけだ。このロシアの音楽の劇的な発展は何なのだろう?チャイコフスキー、あるいはロシア5人組からロシア・アヴァンギャルドへの流れを、今一度、時系列を追って見つめてみると、ロシアの創造の爆発に、衝撃を受ける。

STRAVINSKY: THE RITE OF SPRING
KIROV ORCHESTRA ・ GERGIEV


ストラヴィンスキー : バレエ 『春の祭典』
スクリャービン : 交響曲 第4番 「法悦の詩」 Op.54

ヴァレリー・ゲルギエフ/マリインスキー劇場管弦楽団

PHILIPS/468 035-2




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