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フォリア・クロニクル。 [2005]

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近頃、蕎麦ばかり食べています。
暑いと、やっぱり食欲は減退気味... そうした中で、スルスルっと食べられる蕎麦に救われる。さて、音楽に関しても、スルスルっと聴けるようなものへと流れがち... 音のそう多くない、シンプルな音楽が暑い最中にはちょうどいい。で、ちょっと薬味が効いていたりすると、うれしい!ということで、そんな音楽を引っ張り出して来る。サヴァールのフォリアを集めたアルバム。ちょっとスパイシーで、シンプルな定番メロディをリズミカルに繰り出すフォリア。古楽の素朴さの一方で、エスニックでリズミックなあたりが、夏バテ気分に気付けにもなるかなと...
フォリアのカタログにして、名盤、"LA FOLIA"(Alia Vox/AV 9805)に続く、2005年にリリースされた、ジョルディ・サヴァール率いるエスペリオンXXIの、その他のフォリアを集めた"Altre Folia"(Alia Vox/AV 9844)を聴き直す。で、夏バテ退散!

"LA FOLIA"がカタログならば、"Altre Folia(その他のフォリア)"はクロニクル?必ずしも最初のアルバムに収まり切らなかった"その他のフォリア"というわけではない... 15世紀末、ポルトガルで生まれたと言われるフォリア。その原初の、フォークロワそのものといった表情から、やがてコレッリがヴァイオリン・ソナタに取り込み、ヴィヴァルディのトリオ・ソナタとなって熱狂的に奏でられるまで、ルネサンス―バロックの歩みに準えながら、18世紀初頭までのフォリアの歴史を丁寧に追う。そんな視点が、とても新鮮だったりする。
その1曲目、ペルーに伝えられたフォリアが取り上げられるのだけれど、ペルーから始める大胆さが実に興味深い... それは、南米のバロックなどで聴く、独特の素朴さと、よりフォークロワな色を濃くしたトーンが印象的で、聴く者を一気に遠い遠い昔へと連れ去るよう。コレッリやヴィヴァルディで聴くような、定番のフォリアとはまた違ったインパクトを放つ。そして、この素朴さとフォークロワなトーンこそ、原初のフォリアの姿か?大西洋を渡り、ペルーという辺境でひっそりと伝えられたフォリアの姿に、何か、不思議な郷愁や感慨が滲む。その後で、ルネサンス期の荘重にして繊細な舞曲が続く... カベソン(track.3)、ムダーラ(track.4)のスペインの作曲家から、ルッフォ(track.5)、ピッチニーニ(track.6)とイタリアの作曲家へと受け継がれ。時代はバロック期へとうつろい、イタリアでのフォリアの大ブームの到来... 定番のメロディがやっと聴こえて来る、ファルコニエーリ(track.7)。イタリアの流麗さが、より豊かな表情をもたらして、それまでになく訴え掛ける音楽を展開し、引き込まれる。
剥き出しのダンスとしてのペルーのフォリアから、舞曲として洗練されたリズムを紡ぎ出すルネサンス期、やがてフォリアはイタリアにも広まり、イタリアでは「バロック」という性格を与えられ、グラマラスに発展を遂げる。その進化の過程が興味深く、その様子をつぶさに捉えるサヴァールの丁寧なアプローチに、今さらながら感心させられる。またそこから、ヨーロッパ中へと広がるフォリアが並べられて。様々に変化してゆくフォリアの姿が、まるで万華鏡のように繰り出される。イギリスのプレイフォード(track.9)には、イギリスならではのどこかノスタルジックでセンチメンタルな気分に包まれ... ギター独奏で奏でられるコルベッタ/サンス(track.10)、ムルシア(track.14)には、ギターならではの独特のあまやかさがあって... チェンバロによるカバニーリェス(track.12)には、「スペインのバッハ」と呼ばれるだけの厳めしさがあって、おもしろい。で、定番のコレッリ(track.11)に、締めは最もホットなヴィヴァルディ(track.15)と、同じメロディをこれだけ聴かされても、まったく飽きさせないから凄い。いや、それだけのヴァリエーションを生む「フォリア」の魅力、可能性、存在感が、とても興味深く感じられる。
そして、ルネサンス―バロックを、フォリアに乗って疾走するサヴァール+エスペリオンXXIの器用さたるや!それぞれの時代、それぞれの地域の感覚を大切にしながらも、フォリアの大きな流れと広がりを描き出すダイナミズム!エスペリオンXXIのメンバー、ひとりひとりの音楽性の高さがあってこそ可能となる部分も大きいと思う。瑞々しくもすっきりとしたサウンドが印象的なクレーマーのヴァイオリン。抜群の粒立ちの良さを見せるリスレヴァンのギターの、軽やかでやわらかな表情には息を呑む。で、そうしたメンバーを巧みにまとめて、サヴァールならではの渋さもしっかり響かせる... 最後のヴィヴァルディ(track.15)は、サヴァールの渋さが絶妙に作用して、単に激しいばかりでない、多面的な表情を探り当てていて、この作品に改めて魅了されてしまう。そんなサヴァール+エスペリオンXXIによる"Altre Folia"。個々の鮮やかさと全体としての渋さが見事に織り成されて、この多層的な味わいが、フォリアの多様な姿を掘り起こし、すばらしい。

ALTRE FOLLI ・ EHESPÈRION XXI ・ Jordi Savall
M. Kraemer, R. Lislevand, M. Behringer, M. Lopes, A. Savall


作曲者不詳(ペルー) : フォリア・クリオーリャ(即興曲)
作曲者不詳 : 古いフォリア
カベソン : グローサ付きパヴァーヌ
ムダーラ : ルドビーコのハープを模したファンタジア
ルッフォ : バスとソプラノのガンバ
ピッチニーニ : 「ラ・フォリア」に基づくパルティータ
ファルコニエーリ : 3声のフォリア
ストラーチェ : フォリア
プレイフォード : ファロネルのディヴィジョン
コルベッタ/サンツ : フォリア
コレッリ : ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 「ラ・フォリア」 Op.5-12
カバニーリェス : フォリアのディフェレンシアス
アルビカストロ : ソナタ 「ラ・フォリア」
ムルシア : ガリシアのフォリア
ヴィヴァルディ : ソナタ 「ラ・フォリア」 Op.1-12 RV.63

ジョルディ・サヴァール/エスペリオンXXI

Alia Vox/AV 9844




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