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ダイナミック!ユニヴァーサル!U.K.ポップ? [2006]

ロンドン・オリンピック、始まります!
早速、"なでしこ"が勝ったし、男子も勝っちゃった?!メダルをいくつ取れるか?みたいな、下世話な興味も無くはないけれど、テレビ越しとはいえ、4年に一度の祝祭気分が、何となくいい。世界中がお祭りのただ中にあるような、テンション高めの日々が、暑さにだれる夏の日常に、少しは張り合いを持たせてくれる?いや、すでにサッカーで、おおっ!と、なっております。そんなオリンピックへの期待を込めて、前夜祭的に、イギリスの音楽を聴いてみようかなと... ま、取って付けのような気はするのだけれど...
2006年にリリースされた、サカリ・オラモと、彼が率いたバーミンガム市交響楽団の演奏による、フォウルズの管弦楽作品集の第2弾(Warner Classics/2564 62999-2)と、サイモン・ラトル率いるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による、ホルストの『惑星』と、その延長線上に太陽系の星々を巡る現代作品を集めた2枚組(EMI/3 59382 2)を聴き直す。


U.K.ポップな、フォウルズ。

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とにかく、始まりの「ダイナミック・トリプティック」(track.1-3)の、輝かしさに耳が持っていかれる!プロコフィエフやバルトークのピアノ協奏曲を思い起こさせるモダニスティックなダイナミズムに、イギリスならではのポジティヴでヴィヴィットなトーン... 大陸の、良くも悪くも老成した感覚とは違う、フォウルズならではの若々しい感性は、クラシックというアカデミックな枠組みには納まり切らない魅力がある。同時代のロシア・アヴァンギャルドや、新ウィーン楽派とは一線を画す、19世紀的なロマンティシズムの伝統に則った音楽を響かせながらも、より現代的なサウンドを成し得ているおもしろさ!
イギリスの近代音楽は、その保守性が、何かと言われるわけだけれど、スタイルとしては保守的であっても、気分的なものはけして保守的ではないように感じる。例えば、ホルストの『惑星』、「火星」のダイレクトな迫力や、ブリテンのディヴァージョンズのクラシック離れした響きなど、有名無名を問わず、大陸の基準で安易に判断してはいけないセンスが、イギリスの近代音楽にはいろいろあるように感じる。20世紀後半、U.K.ポップ・カルチャーは世界を席巻したわけだが、そうした機運を生み出したイギリスの風土はまた、イギリスの近代音楽をも育んだはずだ... そして、そういう相対的な視点でイギリスの近代音楽をポジティヴに捉えたならば、また聴こえ方は変わってくるのか。「ダイナミック・トリプティック」のみならず、フォウルズの音楽が、まさにポップ!それは、純粋に音楽そのもの(聴く者に「音」の「楽」しみをもたらすもの... )と真摯に向き合って、必然的に湧き上がってくるポップ性?なんて、言ってみようか... ポップだけれども、ポップでラッピングした"クラシック"ではなくて、DNAのレベルで編み込まれたポップ。そこに、イギリスの音楽の神髄を感じてみたり。
そこに、オラモと、彼が率いたバーミンガム市響によるダイナミックな演奏!今、改めて聴いてみると、これほどにパワフルだった?と、目が覚める思い。彼らの真正面からぶつかってゆくような熱いパフォーマンスが、フォウルズのポップなおもしろさを、見事に盛り上げていて、圧倒される。そこに、パリっとしたタッチで、バーミンガム市響に負けないパワフルさを見せるドノホーのピアノ!豪快かつスタイリッシュなソロが、「ダイナミック・トリプティック」のカッコ良さを際立たせる。

Foulds Dynamic Triptych ・ Music-Pictures III Donohoe ・ Oramo ・ CBSO

フォウルズ : ピアノと管弦楽のための 「ダイナミック・トリプティック」 Op.88 *
フォウルズ : 4月 ― イングランド Op.48-1
フォウルズ : 『ミュージック・ピクチャーズ』 グループ III Op.33
フォウルズ : ラム・ダスの歌
フォウルズ : ケルトの悲歌 Op.29-2

ピーター・ドノホー(ピアノ) *
サカリ・オラモ/バーミンガム市交響楽団

Warner Classics/2564 62999-2




ユニヴァーサルな、『惑星』。

3593822
エブリデェェィ アイ リッスン トゥ マイ ハ(ート) ひとりじゃぁなぁいぃぃ... である。みんな大好き、『惑星』である。となとる、何となしに聴かなくてもいいかなと、天の邪鬼モードになってしまう。が、ラトルの『惑星』は、ちょっと違った。マシューズの「冥王星」がくっついているのは、そう珍しいことではない(蛇足かどうかは置いといて... )けれど、アステロイドや、ケレスも加えてしまって、壮大に太陽系を描き切る。で、その惑星以外の部分、ラトルの委嘱を受けた現代の注目の作曲家たちが並び... サーリアホのアステロイド(disc.2, track.1)、ターネイジのケレス(disc.2, track.3)、ピンチャーのオシリスに向かって(disc.2, track.2)、ディーンのコマロフの墜落(disc.2, track.4)と、惑星、小惑星に留まらず盛りだくさん。何気に、現代音楽の最もホットなあたりをカタログ的に聴けるのが嬉しかったり。その新奇さに興味を掻き立てられた。
そして、今、改めて聴くと、『惑星』(disc.1)の方に興味が向かう... ベルリン・フィルという世界最高のクウォリティで、隅々まできっちりと描き上げられる『惑星』。19世紀流のロマンティシズムに彩られた音楽は、その保守性よりも、やはり、どこかポップに響く。クリアに鳴らせば鳴らすほど、ポップになるイギリスの音楽の妙味。で、ラトルのスタンスは、当然ながらステレオタイプを外してくる... クラシカルな重々しさ、仰々しさで、宇宙のドラマ(『スター・ウォーズ』的、スペース・オペラ?)を繰り広げるのではない、最新鋭のプラネタリウムにでも遊びに行く感覚だろうか... その世界に浸っていると、星、宇宙空間そのものが浮かび上がって聴こえてくるよう。それは、まさにユニヴァーサル!大気圏を飛び出して、太陽系を見つめるような、独特の見晴らしが開けて... 作曲家の思い描いた占星術の世界(ロマンティックな世界?)を遠くに離れ、無重力の、ただただ広がる闇の、その向こうで瞬く星々の、ありのままを綴ったような情景。重力から解き放たれた、真に宇宙的な姿が、そこに漂う。
しかし、聴く側の期待というか、聴き応え?を、突き放す、ラトル+ベルリン・フィルの姿勢が、あっぱれというか、徹底して自分たちの『惑星』をやろう... という思い切りに感服させられる。当然、聴き手としては、不慣れな『惑星』に、宇宙空間へと放り出されたような、心許無さを味わうのだけれど、一通りその状況に慣れてしまうと、鮮やかに描き切られている宇宙の姿に息を呑む。一転の曇りも無い、研ぎ澄まされた宇宙... 臭いも、音も無い、真空の宇宙の、リアルな様の独特のインパクトが、刺激的。

HOLST: THE PLANETS ・ ASTEROIDS
BERLINER PHILHARMONIKER ・ RATTLE


ホルスト : 組曲 『惑星』 Op.32
マシューズ : 冥王星
サーリアホ : アステロイド 4179: トータティス
ピンチャー : オシリスに向かって
ターネイジ : ケレス
ディーン : コマロフの墜落

サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

EMI/3 59382 2




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