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ドビュッシー... セーヌではなく、ローヌの清流で響かせて... [2008]

ジュン・メルクル... お母さんが日本人...
そんなこんなもあってか、妙に親しみを感じてしまう?人懐っこい雰囲気もある?いや、何より、その魅力的な音楽作りがあって... N響定期を足掛かりに、日本でのスター指揮者のポジションを獲得したジュン・メルクル。彼が音楽監督を務めるリヨン国立管を率いての、昨年の来日は、我らがマエストロの凱旋公演のようでもあって、印象深かった。そして、その予習用CD?として、NAXOSからリリースされた来日記念盤(NAXOS/8.570775)を再編集して、さらに新たな録音も加えて、2つのドビュッシーのアルバムがリリースされた。またこれが、NAXOSでの新たなドビュッシーのシリーズになるようで、今後が、大いに楽しみに!
ということで、ジュン・メルクル率いる、リヨン国立管弦楽団による、新たなドビュッシーのシリーズ、代表作、『海』をメインとした、第1集(NAXOS/8.570759)と、『ペレアスとメリザンド』、「月の光」など、ドビュッシーの名作を、様々な作曲家がオーケストレーションを施した版で聴く、第2集(NAXOS/8.570993)の2タイトル。新たなシリーズへの期待を込めて、聴いてみる。


第1集、清らかなるドビュッシー...

8570759.jpg
じっくりと奏でるも、不思議と清らかな流れが生まれて... 始まりの牧神の午後への前奏曲から、何か一味違う感覚で、グイっと惹き付けられるメルクル+リヨン国立管のドビュッシー。もういい加減、聴き飽きた?くらいのドビュッシーの定番も、新鮮な気持ちで向き合える。
ドイツ出身のメルクルのカラー、そして、フランスにして、パリとはまた一味違うセンスを響かせるリヨン国立管。両者の地域性が重なり、融け合い紡ぎ出されるドビュッシーというのが、これまでになく興味深い境地に至っていて。例えば、『海』(track.2-4)ならば、その雄大で力強いイメージや、標題性を越えたところで音楽をつぶさに奏で、ドビュッシーという人物に纏わりつく、「エスプリ」やら、「ダンディズム」といった、雰囲気を巧みに抑えて、音楽そのもののすばらしさに焦点を合わせてくる。一方、どことなしにフラットなイメージがあったバレエ『遊戯』(track.5)では、その音楽を丁寧に腑分けして、よりその構造を探り、そこから味わいのようなものを引き出し、このバレエの他愛が無いようで危うい恋の駆け引きを、そこはかとなしにスリリングに描き、魅惑的。
ドイツの次世代マエストロと、フランスのオーケストラ... それも、セーヌではなく、アルプスに端を発するローヌのほとり、リヨンのオーケストラという組合せの妙というのか... メルクルの明晰かつ、しっかりとした音楽作りが、リヨン国立管の繊細さに新たな力を与え、印象主義の音楽を、けして「印象」ではごまかさない、きちっとした姿で立ち上げる。そうして明らかになる、ドビュッシーの音楽世界の細やかな造り。わずかな輝きも逃さないメルクル+リヨン国立管の精緻さが、聴き知った作品を、まるで、初めて聴くような瑞々しさで捉えて。そうして生まれる清々しい空気感に、たまらない心地よさを覚える。濁りの無いドビュッシーに魅力を与え、濁りが無いからこそのドビュッシーそのもののすばらしさをしっかりと届けて、見事。

DEBUSSY: Orchestral Works ・ 1

ドビュッシー : 牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー : 管弦楽のための3つの交響的素描 『海』
ドビュッシー : バレエ 『遊戯』
ドビュッシー : 『子どもの領分』 〔オーケストレーション : カプレ〕

ジュン・メルクル/リヨン国立管弦楽団

NAXOS/8.570759




第2集、どう料理する?ドビュッシー...

8570993
さて、ドビュッシーの"管弦楽作品"というと、オーケストラのレパートリーには欠かせない名作がある一方で、その数は、必ずしも多くはない。そうした中で、メルクル+リヨン国立管の新たなシリーズは、ドビュッシー以外の作曲家の手によるアレンジ作品も並ぶところがおもしろい点。そうしたアレンジのひとつ、スイスの現代の作曲家、ミシェル・ジャレル(b.1958)による12の練習曲からの「3つの練習曲」(track.7-9)が刺激的。ドビュッシーによるピアノのための12の練習曲自体が、すでに"ゲンダイオンガク"へ踏み出そうとしているような、スリリングさがあるわけだけれど、そうしたサウンドを上手にジャレル・タッチでオーケストラに描きつつ、オリジナルよりも、「ドビュッシーっぽさ」のようなものを抽出してくる器用さが印象に。この相反するような感覚の妙に、ジャレルのセンスを感じ。自身の作品よりも、アレンジでこそ見えてくるセンス?オーケストレーションを面倒くさがるドビュッシーに替わり、何かとドビュッシー作品に世話を焼いた、ドビュッシーの友人にして専属アレンジャー?カプレより、ずっとドビュッシーの音楽を活かし切っていて、ちょっと複雑な思いにもなるような... ならないような...
そして、アレンジばかりでない第2集、注目はノクチュルヌ(track.3-5)... 深まりゆく夜の、何とも言えないグラデーションを繊細に描いて、その静けさに息を呑む。メルクル+リヨン国立管の精緻さが、作品の持つ表情をより細密に仕上げていて、密度を濃くするのか、そうして描かれる夜の情景に酔わされる。そこに、ライプツィヒMDR放送合唱団により歌われる、女声によるヴォカリーズが、さらなる美しさを加えて。いつもなら効果音的な感覚で聴き逃しそうなパートだけれど、彼女たちのドイツならではの透明感を以って響かせれば、ドビュッシーの狙いがよくわかる... いや、これだけに限らず、メルクル+リヨン国立管によるドビュッシーを聴いていると、ドビュッシーの音楽に、はっとさせられ、納得させられる瞬間が度々来る。そうした演奏を聴いて、つくづく思うことは、ドビュッシーのオーケストレーションのすばらしさ。その後で、カプレによるアレンジなどを聴くと、余計にドビュッシーの編み出すサウンドのすばらしさを思い知る。カプレはカプレで、悪くはないのだけれど...

DEBUSSY: Orchestral Works ・ 2

ドビュッシー : 『ペレアスとメリザンド』 による交響曲 〔編曲 : コンスタン)
ドビュッシー : 月の光 〔オーケストレーション : カプレ〕
ドビュッシー : ノクチュルヌ *
ドビュッシー : 英雄の子守歌
ドビュッシー : 『12の練習曲』 より 3つの練習曲 〔オーケストレーション : ジャレル〕
   第9番 「反復する音符のための」/第10番 「対比的な響きのための」/第12番 「和音のための」

ジュン・メルクル/リヨン国立管弦楽団
ライプツィヒMDR放送合唱団(女声) *

NAXOS/8.570993




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