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ハノーファーからやって来たエージェント、ヘンデル、水上のミッション。 [2017]

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8月、夏休みということもあって、こどもたちの姿をあちこちで目にする。だからだろうか、何となく街の表情も、いつもより楽しげに映るような... そして、夕闇が迫る頃、どこからともなく太鼓の音が聴こえて来て、浴衣姿の人を見掛ければ、ああ、盆踊りがあるんだなと... 遠くで、ドォンっ!と音が響けば、夜空に花火をつい探してしまう... こういう夏の楽しみの気配に、何だかワクワクさせられる。改めて、見渡せば、夏には、いつもとは違う、非日常が、そこかしこに仕掛けられているようで、おもしろい。そんな非日常に出くわすと、異界に迷い込んだようで、ちょっと眩惑される。さて、音楽であります。盆踊りに、花火と、夏は、やっぱり祭りかなと... ならば、祝祭の音楽に注目してみよう!ということで、今からちょうど300年前の夏へと遡ってみることに...
1717年、ロンドン、テムズ川でのページェント!アルフレード・ベルナルディーニが率いる、ピリオド・オーケストラ、ゼフィロの演奏で、今年、初演、300年を迎えるバロックの定番、ヘンデルの『水上の音楽』(ARCANA/A 432)。改めて、この人気作を見つめる。

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壮麗なるイギリス音楽史で織り成されるジョージ2世の戴冠式。 [before 2005]

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1711年、24歳の時、初めてロンドンを訪れたヘンデルは、オペラ『リナルド』で、センセーショナルなデビューを飾り、早速、ロンドンっ子たちを魅了。一端、ドイツに戻るも、翌年には再びロンドンへ!以後、ロンドンの音楽シーンの中心で活躍することになる。という、ヘンデルのロンドン時代は、とにかくシャカリキになってイタリア・オペラを生み出したというイメージ(でもって、疲れてしまって、オラトリオに移行... )があるのだけれど、そんな厳しいロンドンの音楽シーンの一方で、変わらず上得意だったのがイギリス王室!アン女王の誕生日のためのオード(1713)、キャロライン王太子妃のためのキャロライン・テ・デウム(1714)、ジョージ1世のための『水上の音楽』(1717)などなど、ヘンデルの音楽に魅了された歴代のイギリス国王、ロイヤル・ファミリーによる委嘱が、祝祭でも存分に力を発揮したヘンデルの才能を今に伝える。そして、イギリス王室、最大の祝祭が、戴冠式!
ということで、1727年、ジョージ2世の戴冠式を忠実に再現(よって、ヘンデルばかりではない... )する、興味深い2枚組... ロバート・キングの指揮、キングス・コンソートの歌と演奏で、"The Coronation of King George II"(hyperion/CDA 67286)を聴く。

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1727年、ロンドン、イタリア・オペラの翳り... [2008]

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1685年、バッハと同じ年に生まれたヘンデル。3歳になったモーツァルトがチェンバロを弾き始める1759年、74歳で大往生を遂げる。という風に、音楽史からヘンデルの74年の人生を捉えると、もの凄く長く感じられる。で、長い分、山あり谷ありでして... 痛快に感じられるほど、自ら道を切り拓いて行ったハンブルク時代(1703-06)、イタリア時代(1706-10)。その勢いそのままに乗り込んだ大都会、ロンドン!だったが、やがて強力なライヴァルたちが現れて、熾烈な競争から心身ともに疲労困憊、倒れてしまうロンドン時代... しかし、再び立ち上がるヘンデル!新たな道を切り拓き、ヨーロッパを代表する巨匠として輝く晩年。自らが作曲したオペラのようにドラマティックなその人生... いろいろありながらも、盛期バロックから古典主義が準備される頃まで、第一線を生き抜いたその音楽人生は、ただならない。改めてその姿を見つめると、バッハとは違う重みを感じる。
さて、前回、ヘンデルにとっても輝かしかった、1727年、ジョージ2世の戴冠式の音楽を聴いたので、その一ヶ月後に初演された、オペラを取り上げてみる... ポール・グッドウィンの指揮、バーゼル室内管弦楽団の演奏、ローレンス・ザッゾ(カウンターテナー)のタイトル・ロールで、オペラ『リッカルド・プリモ』(deutsche harmonia mundi/88697-17421-2)を聴く。

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1728年、ロンドン、バラッド・オペラの嵐! [before 2005]

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ピューリタン革命に始まるキリスト教原理主義の共和政(1649-60)が音楽を弾圧したことで、オペラ受容が遅れたイギリスだったが、英語によるセミ・オペラを地均しに、本場、イタリア・オペラがロンドンでも上演されるようになると、18世紀、一気にオペラ文化が開花する。そこにやって来た、若きヘンデル。出資の問題で劇場の経営が悪化。劇場が閉鎖される事態があったものの、1719年、ボノンチーニ、ヘンデルらを作曲家に、イタリア・オペラを本格的に上演する団体、王立音楽アカデミー(国王を筆頭に、有力な貴族、音楽好きの富豪たちが出資する株式会社... )が設立され、1720年に最初のシーズンが開幕。以後、セネジーノ、クッツォーニ、ボルドーニら、イタリアのスターたちを擁して、ロンドンの音楽シーンにイタリア・オペラ旋風を巻き起こす。が、やがて、ロンドンっ子たちは、イタリア・オペラに飽き始める。そこに登場したのが、英語による歌芝居、バラッド・オペラ!
ということで、1728年、ロンドンに一大ブームを巻き起こしたバラッド・オペラ『ベガーズ・オペラ』に注目... ジェレミー・バーロウ率いるブロードサイド・バンドの演奏、パトリシア・クエッラ(ソプラノ)、ポール・エリオット(テノール)の歌で、バラッド・オペラの実像を見つめる"THE BEGGAR'S OPERA Original songs & airs"(harmonia mundi FRANCE/HMA 1951071)を聴く。

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ヴァイマール共和国、二束三文の享楽、『三文オペラ』の衝撃... [before 2005]

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さて、『ベガーズ・オペラ』を聴いたので、そのリメイク作品であるブレヒト、ヴァイルによる『三文オペラ』を聴いてみようと思うのだけれど、『三文オペラ』(1928)は、『ベガーズ・オペラ』(1728)の初演200周年記念作品でもあるのだよね... けど、『三文オペラ』の制作を主導したブレヒトは、それをまったく狙っていなかったところがおもしろい。そもそも、成功すら期待していなかったようで... ヴァイルによる音楽のチープさも、ある種の気の無さを表していたよう... しかし、そういう作品こそ大成功するという皮肉。考えてみれば、『ベガーズ・オペラ』がそういう作品だったなと... となると、2つの作品は、極めてよく似ていると言えるのかもしれない。いや、200年の時を経て、見事に共鳴する2つの作品であって、ちょっと運命的なものすら感じてしまう。
ということで、HKグルーバーの指揮、アンサンブル・モデルンの演奏、マックス・ラーベのメッキース、HKグルーバーのピーチャム、ニナ・ハーゲンのピーチャム夫人で、ブレヒトとヴァイルによる『三文オペラ』(RCA RED SEAL/74321-66133-2)を聴く。

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パリからニューヨークへ... ヴァイル、流転の人生を辿る、ソング... [before 2005]

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クルト・ヴァイル(1900-50)というと、やっぱり『三文オペラ』(1928)というイメージがあって、そのイメージをクラシックというジャンルから見つめると、やっぱり、ちょっと異質かなと... しかし、『三文オペラ』に至るまでのヴァイルの音楽の歩みは、20世紀音楽のメインストリームをしっかりと押さえて、なかなかの優等生でもある。父は、デッサウの街のシナゴーグの聖歌隊の指揮者(つまり、ヴァイルはユダヤ系... )で、こどもの頃から音楽に触れる機会のあったヴァイル。やがてベルリン音楽大学に進学するも、あまりに保守的な教育方針に嫌気が差し、故郷、デッサウに帰ってしまう。が、1920年、ブゾーニがプロイセン芸術アカデミーで作曲のマスター・クラスを開くと、再びベルリンへ!新音楽を提唱するブゾーニに師事し、近代音楽の前線基地へと進化した刺激的なベルリンの街で、マーラーからシェーンベルク、ストラヴィンスキーと、様々な新しい音楽を吸収し、気鋭の作曲家として頭角を現す。そこにブレヒトが現れ、『三文オペラ』でブレイク!時代の寵児となるのだったが、輝かしきベルリンの1920年代は、間もなく終わる。1930年代、ナチスの台頭により、ヴァイルの流転が始まる。
ということで、ヴァイルが最初に逃れた先、パリで作曲された作品... アンネ・ソフィー・フォン・オッター(メッゾ・ソプラノ)の歌、ジョン・エリオット・ガーディナーの指揮、北ドイツ放送交響楽団の演奏で、ヴァイルの『七つの大罪』。さらにアメリカへと渡り、書かれたナンバーなど、ヴァイルのソングを網羅した"Speak Low"(Deutsche Grammophon/439 894-2)を聴く。

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アメリカ発、ヴェリズモ・オペラ、『ポーギーとベス』の本気... [2009]

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8月に入ってからというもの、どういうわけか夏らしさは遠ざかり、まるで梅雨空が戻って来てしまったような、そんなもどかしい日々が続いておりました。が、夏らしさが戻って来た!やっぱり、日差しは欠かせないよ、暑いけど... ということで、音楽で夏を味わう!サマー・タイム... って、あんまりにもダイレクトか?いや、夏の歌ではないのだよね、サマー・タイム。夏になれば、暮らしは楽になる(漁に出ることができて、綿花の収穫が近付くから... )と歌うのだけれど、この歌が持つ独特の気だるさ、ブルース調に、夏を感じて... で、このスタンダードの名作を生み出したガーシュウンのオペラ『ポーギーとベス』を聴いてみようかなと...
ニコラウス・アーノンクールの指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団の演奏、ジョナサン・レマル(バス・バリトン)のポーギー、イザベル・カバトゥ(ソプラノ)のベスで、ガーシュウィンのオペラ『ポーギーとベス』(RCA RED SEAL/88697591762)を聴く。

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A列車に乗って行った先に広がる、クラシカルなエリントン... [before 2005]

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8月も、あっと言う間に下旬、夏休みも、そろそろ終わりが見えて来ました。さて、当blogは、クラシックを夏休み。いや、ガーシュウィンを聴いた勢いで、ジャズを聴いてみようかなと... とは言うものの、ジャズの世界は、クラシックとまた違って、ディープ。少し冷静になって考えれば、けして片手間で踏み込むべきではない領域。これは身の丈を越えた夏休みの宿題になってしまうのでは?と、軽く慄きながらも、その魅力には勝てなかった... 取り上げちゃいます、デューク・エリントン!てか、もう少し大きな視野で捉えれば、クラシックに欠かせないジャズでもあって... 1920年代、ジャズ・エイジ、いろいろ影響を受けています、クラシック!ならば、クラシックからジャズを見つめたなら、どんな感じになるだろう?ふとそんなことを思い、宿題に向き合ってみる。
ということで、サイモン・ラトルの指揮、バーミンガム市交響楽団の演奏、レナ・ホーンのヴォーカルもありつつの、デューク・エリントンの作品集、"CLASSIC ELLINGTON"(EMI/5 57014 2)。ウーン、改めてデューク・エリントンと向き合うと、興味深い。

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時間に香りを見出すエステバン、"El aroma del tiempo"。 [before 2005]

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先日、『ハリー・オーガスト、15回目の人生』というイギリスの小説(SFにして、歴史小説でもあるというあたり、個人的にツボ... でもって、本国、イギリスでベストセラーになったんだって... )を読み終える。タイトルの通り、ハリー・オーガストが15回も人生を生き直すという物語... つまり、ある種のタイム・リープものなのだけれど、近頃、そういう物語、多い気がする。けして越えることのできない時間の壁を、物語の中で越えて行く。そういう物語が求められる背景には、何があるのだろう?と、ふと考える。ますます時間に追われる現代社会、追われて誤った選択をしたと感じている現代人の、やり直したいという欲求が反映されているのか?現代社会を生きていると、ありのままの人生を受け入れることが難しくなってしまうのかもしれない。とはいえ、タイム・リープはロマンティックである。つまり、タラレバは、想像力を掻き立てる!なればこそ、タイム・リープものは、刺激的なのだろうなァ。そうそう、クラシックを聴くことも、擬似タイム・リープじゃない?音楽という時間芸術を、時代を経て聴くということは、かつてを生きた人たちと同じ時間を共有することになるわけで... いや音楽は実際的に時間を越えている!
ということで、時の香り、というタイトルを持つアルバムを聴いてみようかなと... 古楽の太鼓の巨匠、ペドロ・エステバンが、気心の知れた古楽の仲間たちと、古楽にこだわらない、古楽からの新しいフュージョンを響かせる不思議なアルバム、"El aroma del tiempo"(GLOSSA/GCD 921002)。前回に続いてのクラシックを夏休み。で、クラシックを外れて、時空も飛び越える。

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