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キース・ジャレット、20世紀のピアノ協奏曲を弾く。 [2015]

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6月が終わります。そして、2017年も半分が過ぎようとしています。
さて、ECM NEW SERIESを聴いて来た6月ですが、この人を取り上げなくては終われないかなと、キース・ジャレット... ジャズ界におけるピアノの大家にして、ECMの大看板。その人が、ECM NEW SERIESでは、クラシックを弾いてしまうから、凄い。それも、ジャズ・アレンジで... なんて言う、お茶を濁すようなことは、一切無し。バッハからショスタコーヴィチまで、実にフレキシブルにクラシックと向き合っている!いや、改めてその姿を見つめると、唸ってしまう。そう容易いものではないはずだけれど、飄々とジャンルを越えてしまう、キース... 裏を返せば、ジャズだろうが、クラシックだろうが関係無く、ただ単に音楽そのものと向き合っているのだろう。で、この姿勢、ECMの精神、そのもののように感じる。そして、こういうニュートラルさが、クラシックに、音楽に、新しい可能性を拓くように感じる。ECM NEW SERIESを聴いて来て、そんな風に感じる。
ということで、1984年のライヴ、デニス・ラッセル・デイヴィスの指揮、ザールブリュッケン放送交響楽団の伴奏で、バーバーのピアノ協奏曲と、1985年のライヴ、秋山和慶の指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団の伴奏で、バルトークの3番のピアノ協奏曲を収録した、2015年のキース・ジャレット生誕70年を祝う記念盤(ECM NEW SERIES/481 1580)を聴く。

キース・ジャレットがコンチェルトを弾いている?!と、テンションが上がってしまった1枚。いや、モーツァルトのコンチェルトは弾いているキースなのだけれど、ガッツリ、近代音楽、20世紀のピアノ協奏曲というあたりが興味を引いて... というアルバムは、一昨年、キース・ジャレットの70歳を祝う2枚の記念盤の1枚。ジャズはもちろんのこと、クラシックでも活躍するキースを、それぞれのジャンルから1枚ずつリリース。で、クラシックからの1枚が、バーバーとバルトーク?!70歳を祝うならば、バッハあたりのマスター・ワークを、じっくりと... なんて、漠然と思ってしまうのだけれど、バーバーとバルトークを持って来てしまうのが、キースのセンスか。しかし、目を引く、バーバーとバルトークという組合せ... ロマンティックなアメリカの大家と、民俗音楽からモダニズムを織り成したハンガリーを代表する作曲家。ちょっと突飛な感じがするのだけれど、1962年、ニューヨークで初演されたバーバーのピアノ協奏曲(track.1-3)に、亡命先であるアメリカ、ニューヨークで、その死の年、1945年に作曲されたバルトークの3番のピアノ協奏曲(track.4-6)。どちらもアメリカで作曲され、アメリカで初演されたコンチェルト(バルトークの3番は、フィラデルフィアで、1946年に初演された... )。並べて聴いてみると、近さを感じる。
アメリカの作曲家にして、古き良きヨーロピアンなサウンドを響かせるバーバー(1910-81)だけれど、そのピアノ協奏曲(track.1-3)は、戦後「前衛」の爛熟期、1960年代の作品。となれば、さすがにモダニズムを意識した仕上がり。それは、「現代」ではなく、あくまで「近代」。1楽章、バーバリスティックにも感じられるピアノ・ソロの出だしは、バルトークを思わせて... さらに、出だしで提示された主題が大胆に展開されると、ピアノはパーカッションのように扱われて、まさにバルトーク... 続く、ミステリアスな2楽章(track.2)には、プロコフィエフの3番のピアノ協奏曲を思わせるところがあり、何気に東欧風なバーバーのピアノ協奏曲。終楽章(track.3)は、パワフルなオスティナートで始まり、ピアニストの超絶技巧が光る!そうした派手さには、アメリカっぽさも感じられ、モダニスティックでありながら、エンターテインでもある、おもしろさ... 一方のバルトークの3番のピアノ協奏曲(track.4-6)は、それまでの、故国、ハンガリーで作曲されたプリミティヴなテイストとは一線を画し、アメリカを意識したキャッチーさがあって、ポップですらある。特に2楽章(track.5)の、弦楽セクションによる澄んだ響きは、まるでコープランド... 住み慣れた故郷を離れざるを得なかったバルトークのアメリカナイズに切なくなってしまう。
そんなバーバーとバルトーク。やっぱりクラシックのピアニストが奏でるイメージとは一味違うのか... キースの弾くバーバー(track.1-3)は、何となくスモーキー。だからか、アメリカの音楽にして、ちょっと仄暗く、東欧っぽさを引き立てて、味わい深い。一方、バルトーク(track.4-6)では、絶妙に明るさを練り込んで、ハンガリーではなく、アメリカの南部の陽気さのようなものを響かせる。キースならではのテイストを持ったタッチが、思い掛けなく、作品のトーンを膨らませるおもしろさ!けしてジャズっぽいわけではないし、というより、見事に近代音楽、20世紀のピアノ協奏曲を弾き切っているのだけれど、クラシックのピアニストのアカデミックな真面目さが邪魔して見えて来なかった部分を、さり気なく掘り起こすのがキースによるクラシックの妙。バーバーもバルトークも、より豊かなイメージを以って響き出し、魅了されるばかり。

SAMUEL BARBER: PIANO CONCERTO OP. 38 - BÉLA BARTÓK: PIANO CONCERTO NO. 3
KEITH JARRETT


バーバー : ピアノ協奏曲 Op.38 *
バルトーク : ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119 *
ジャレット : Nathing But A Dream 〔東京公演アンコール〕

キース・ジャレット(ピアノ)
デニス・ラッセル・デイヴィス/ザールブリュッケン放送交響楽団 *
秋山 和慶/新日本フィルハーモニー交響楽団 *

ECM NEW SERIES/481 1580




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