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シンフォニスト、シベリウスの、摸索、南国、内省... [before 2005]

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さて、2017年は、フィンランド独立100周年!北極圏を含む大自然に抱かれ、ムーミンがいて、ハイセンスで、ハイテクでもあって、まさに「ヨーロッパ」のイメージのフィンランドなのだけれど、言語から見つめると、他のヨーロッパの国々とは異なる背景が浮かび上がる。フィンランド人は、民族としてはヨーロッパ系であるものの、その言語はアジアンナイズされた独特のもの... ヨーロッパにしてアジア(とはいえ、我々のアジアとは違う、太古のアジアだけれど... )の要素も含むのがフィンランド?考えてみると、ムーミンは独特かもしれない。そうしたフィンランドの文化のベースにあるだろう、古い神話や伝説を集めた叙事詩、『カレワラ』も、やっぱり独特... よくよく見つめると、非ヨーロッパ的な感性が、フィンランドの文化的個性を際立たせているのかもしれない。
というあたりから、改めてフィンランドを代表する作曲家、シベリウスの交響曲を聴いてみようかなと... パーヴォ・ベルグルントの指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団の演奏で、シベリウスの交響曲、1番、2番、3番(FINLANDIA/0630-14951-2)を聴く。

ヘルシンキ音楽院(1885-89)で学んだ後、ベルリン、ウィーンへと留学(1889-91)し、そこで生み出されたのがクレルヴォ交響曲。フィンランドの叙事詩、『カレワラ』を題材に書かれた歌付き交響曲は、帰国の翌年、1892年にヘルシンキで初演され大成功。シベリウスは、若手作曲家として、一躍、注目の人物に... それから5年が経った1897年、31歳にして自治政府(フィンランドは、まだロシア帝国から独立しておらず... )から年金が支給され、自由な創作活動を手に入れる。そして、1899年には、フィンランドの第2の国歌とも言える、代表作、「フィンランディア」が誕生。自治政府としては、見事な先行投資だったなと... で、同じ年に完成されたのが、1番の交響曲(disc.1, track.1-4)。シンフォニスト、シベリウスの、第一歩を、改めて聴いてみるのだけれど、後の交響曲を思わせる鮮烈さ、雄大さを随所に見出すも、まだまだ若い!どこか、まとまりに欠けるような印象も受ける。が、そのまとまらなさに、若きシベリウスがリスペクトしていたのだろう作曲家たちの影が浮かび、かえっておもしろい?1楽章(disc.1, track.1)からは第九の2楽章が聴こえて来て、チャイコフスキーもはっきりと感じられ、他にも、これは何だったっけ?という思いになるところ、チラホラ... 何だか、かくれんぼの鬼になった気分。で、そういう1番から、名曲、2番(disc.2)へと聴き進めると、抗し難く惹き込まれ、圧倒される!
1番から2年を経た1901年に作曲され、翌年に初演された2番(disc.2)。今さら言うまでもなく、ロマンティックで、シベリウスらしい雄大さを響かせ、まさに名曲!最初の音が響き出した瞬間からシベリウスが感じられる安心感... シンフォニスト、シベリウスの方向性がしっかりと定まった揺ぎ無さに身をゆだねて味わう得も言えぬ陶酔感... 久々に聴くと、ため息が出てしまう。で、この交響曲が生まれたのが、リヴィエラのリゾートだと知って、その印象は大きく変わる。シベリウスは、雪と氷に閉ざされるフィンランドを出て、イタリア、ラパッロで冬を過ごし、この名曲に取り組む。つまり、そこに響く音楽は、フィンランドの雄大な自然ではなく、地中海の鮮やかさ、南国の空気が生み出す解放感なのだなと... そう意識すると、2番の得も言えぬ陶酔感はより鮮やかに、躍動的に響いて来る。その年のイタリアは寒波に襲われていたらしいのだけれど、フィンランドに比べれば、まるで魔法の国。その魔法で、シベリウスらしさは、解き放たれたか?いや、旅こそ創造にとっての魔法だなと...
さて、国際的な名声も得て、生活がすっかり派手になってしまったシベリウス。不摂生から健康まで害してしまい、1904年、ヘルシンキを離れ、豊かな自然に囲まれた郊外、ヤルヴェンパーに移る。それから3年の時間を掛けて完成されたのが、3番(disc.1, track.5-7)。で、2番の鮮やかさの後で聴くと、3番の素朴さが際立つ... これがヤルヴェンパーの風景なのだろう。派手な社交から真摯な創作へと帰って来たシベリウスの心象なのだろう。オーケストラの規模を絞り込み、古典派的なサウンドを織り成し、シベリウスらしい雄大さとは一味違う、ヤルヴェンパーの身近な自然の中を散策するような感覚が心地良い。しかし、歩みを進めてゆくと、やはりフィンランドの大自然に包まれるような終楽章(disc.1, track.7)のフィナーレが待っていて、シベリウスらしい魅力に惹き込まれる。2番でひとつの頂点を築いてから、再スタートを切った形となった3番には、新たな頂点を目指す歩みがしっかりと聴き取れ、次第にスケールを増して行く展開が感動的。次が楽しみになる。
という、シベリウスの1番(disc.1, track.1-4)、2番(disc.2)、3番(disc.1, track.5-7)... 順を追って聴いてみると、聴こえて来るものがまた違って来る気がする。絶対音楽の結晶のように感じられたシベリウスの交響曲も、様々な要素で編まれ、何よりも一曲一曲、しっかりと成長を遂げていることに感じ入ってしまう。で、それをビシっと強調して来るのが、ヨーロッパ室内管による演奏!フィンランドのマエストロ、シベリウスのスペシャリストだったベルグルント、3度目のシベリウス・ツィクルスの録音に、「室内」という規模で挑んだ斬新さは、今を以ってしても色褪せていない。「室内」によって克明に穿たれてゆくシベリウスの音は、"シベリウスらしさ"というステレオ・タイプを払拭し、より豊かなイメージを掘り起こす。だからこそ、よりその音楽の魅力が深く味わえる。味わって、深まる感動... ということで、4番、5番、6番、7番へ...

SIBELIUS: SYMPHONIES NOS.1-3
CHANBER ORCHESTRA OF EUROPE, PAAVO BERGLUND

シベリウス : 交響曲 第1番 ホ短調 Op.39
シベリウス : 交響曲 第3番 ハ長調 Op.52
シベリウス : 交響曲 第2番 ニ長調 Op.43

パーヴォ・ベルグルント/ヨーロッパ室内管弦楽団

FINLANDIA/0630-14951-2




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